中絶後の生理や症状について

中絶手術後の身体には、ホルモンバランスの変化や子宮の回復など、さまざまな変化が生じます。とくに「次の生理はいつ始まるの?」「中絶後の体調不良が心配」「性行為はいつから大丈夫?」といった点に、不安を感じる方も少なくありません。
このページでは、中絶後の生理(月経)の特徴や症状、適切な避妊方法などについて解説します。
中絶後の生理は通常と
異なる場合がある

中絶手術のあと、最初の月経がくるのは一般的に28〜42日(4〜6週)後とされています。妊娠によって変化していたホルモンバランスがリセットされ、身体が通常の周期に戻ろうとするため、月経のタイミングが一時的にずれやすいのです。
術後しばらくは、普段の月経と異なる状態がみられるケースもあります。
- ・経血の量が多い/少ない
- ・出血の期間が長い/短い
- ・予定より早くくる/遅れる など
また、手術後に起こる不正出血は、月経の出血と区別しにくいです。そのため、中絶1週間後の検診は必ず受診し、出血の状態に不安がある場合は、お早めにご来院ください。
2ヵ月以上生理がこない場合は病院やクリニックへ
中絶後、2ヵ月以上月経がこない場合には、早めの婦人科受診をおすすめします。考えられる原因としては、手術や精神的ストレスによるホルモンの乱れ、子宮内に内容物が残っている(子宮内容遺残)などが挙げられます。
身体の回復には個人差がありますが、放置すると感染や将来の妊娠に影響を及ぼす可能性もあるため注意が必要です。少しでも不安がある場合は、遠慮なくご相談ください。
中絶後に生じる
可能性がある症状
中絶手術から約1週間は、身体にはさまざまな変化が現れます。症状が強く、日常生活に支障をきたす際には、速やかに医療機関を受診してください。
当クリニックでは手術の約1週間後に術後検診を行っています。安全な回復のためにも、必ず受診をお願いいたします。
出血 |
中絶後は、月経のような出血が1〜2週間ほど続く場合があります。出血量には個人差があり、ほんの少量しか出ない方もいれば、月経2日目のようにしっかりとした出血がみられる方もいます。ほとんどの場合は数日で徐々におさまりますが、術後しばらくはナプキンのご使用をおすすめします。 受診の目安:出血が極端に多い、出血が1週間以上続く |
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下腹部の痛み |
手術後しばらくは、月経痛に似た下腹部の鈍い痛みを感じることがあります。これは、妊娠で大きくなった子宮が元の大きさへ戻る過程で生じる、自然な反応です。痛みがつらいときには、処方された鎮痛薬を服用して、安静にお過ごしください。 受診の目安:強い痛みが続く、日常生活に支障をきたしている |
発熱 |
手術後に一時的な発熱がみられることがあります。妊娠中に分泌されていたホルモンの影響もありますが、通常は時間の経過とともに自然におさまります。ただし、高熱が続く場合は感染症の可能性も否定できません。感染予防のため、処方された抗生剤は最後まで指示通りに服用してください。 受診の目安:38.5度以上の発熱が2日以上続く、寒気や強い倦怠感を伴う |
中絶後遺症候群 |
中絶手術を経験した後、気分の落ち込みや不安感、自己否定感など、心の不調を感じる方がいらっしゃいます。これらはPAS(中絶後遺症候群)と呼ばれ、正式な医学診断名ではありませんが、PTSDに類似した精神的症状があらわれるケースもあります。さまざまな感情的反応は決して珍しくなく、中にはすぐに症状が出ず、時間が経ってから感情の不安定さが続く方も少なくありません。 受診の目安:気分が不安定な状態が続く、日常生活に支障をきたしている |
中絶後の性行為
中絶手術の約1週間後に行う検診で問題がなければ、性行為は再開いただけます。ただし、手術によって体力や子宮の状態は一時的に不安定になっています。無理をせずに、体調が整い、心身ともに落ち着いてからの再開が望ましいです。
妊娠を希望する場合のタイミング
将来的に妊娠を望まれる方は、手術後すぐに妊活を始めるのではなく、身体の回復を第一に考えましょう。目安としては、中絶後に3回ほど月経が安定してきてから妊娠の計画を立てるのが望ましいとされています。
この期間は、子宮内膜の状態を整え、ホルモンバランスを回復させるうえでも重要です。焦らず、ゆっくりと準備を整えていきましょう。
中絶後の避妊

中絶手術の約2週間後は排卵のタイミングと重なる場合が多く、身体の回復が不十分な状態で妊娠するリスクが高まります。性交渉時は避妊を行いましょう。
中絶を繰り返さないためにも、術後の避妊は一時的なものではなく、継続的な計画として考えることが大切です。
長期的な避妊方法について
しばらくは妊娠を希望されない場合には、ミレーナ、低用量ピル、避妊インプラントなどの使用がおすすめです。
子宮内に装着する「ミレーナ」は、最長5年間にわたって避妊効果が期待できます。ホルモンを局所的に放出するため、全身への影響が少なく、過多月経の改善にも効果があります。ミレーナは中絶手術と同時に装着することも可能なため、ご希望の方は手術時に医師へお申し出ください。
また、毎日の内服が必要な「低用量ピル」や、二の腕の皮下に小さな棒状の器具を挿入する「避妊インプラント」なども選択肢として考えられます。避妊インプラントは、最長3年間避妊効果が続く方法で、装着・取り出しともに医療機関で行います。
梅田駅前婦人科クリニックでは、これらすべての避妊具/避妊薬を取り扱っています。
どの方法が適しているかは、体質やライフスタイルによって異なりますので、ご不明な点は医師にご相談ください。
中絶後の生理や妊娠についてよくあるご質問
- 中絶手術後に不妊になる可能性はありますか?
- A.中絶手術が原因で不妊になることはほとんどありません。多くの方がその後も妊娠・出産を経験されています。ただし、手術に伴う合併症やホルモンバランスの乱れによって、一時的に妊娠しにくくなったり、不妊になったりするリスクがあります。将来的な妊娠について不安がある場合は、医師にご相談ください。
- しばらくは妊娠を希望していないのですが、どのような避妊方法がおすすめですか?
- A.避妊方法にはさまざまな選択肢があり、毎日服用する低用量ピルは手軽で効果的な方法の一つです。また、長期的な避妊を希望される場合には、子宮内に装着して最長5年間効果が続く「ミレーナ」や、皮下に挿入する「避妊インプラント」などもおすすめです。どの方法が適しているかは、体質や生活スタイルによって異なりますので、お気軽にご相談ください。
- 中絶後はどれくらいで仕事復帰できますか?
- A. 基本的には、短時間のデスクワークなどであれば、手術の翌日から再開いただけます。ただし、立ち仕事や重い荷物を扱う業務など、身体に負担のかかる作業は、可能であれば2〜3日程度お休みされることをおすすめします。
- 手術後に日常生活で気をつけることはありますか?
- A.手術後3日間ほどは、できるだけ安静にお過ごしください。当日はシャワー浴が可能ですが、湯船での入浴、激しい運動や力仕事、長時間の立ち作業などは1週間ほど控えましょう。また、サウナ・温泉・プールの利用は1ヵ月ほど避けてください。飲酒については、術後の検診で問題がなければ、1週間後から可能になります。
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お知らせ
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2025/06/11
2025年7月1日(火)10時 梅田駅前婦人科クリニックが新規開院します。2025年6月24日(火)より、予約受付開始です。